職場の人間関係で悩んでる? 知っておくと気持ちが楽になる『考え方のコツ』をご紹介します。

職場の人間関係で悩んでる? 知っておくと気持ちが楽になる 『考え方のコツ』をご紹介します。

「上司とソリが合わない…」「部署の中で浮いているような気がする…」「同僚から傷つくようなことを言われた…」などなど、職場での人間関係で悩んでいる方は多いのではないでしょうか?

人は人生の多くの時間を集団の中で過ごします。特に仕事に費やす時間は仮に1日8時間と見積もっても24時間の内の3分の1、実際には残業や通勤、支度の時間なども含めると1日の大部分を占めている、といったケースも多いかと思います。仕事が終わって帰宅し無事に一日が終わっても、また次の朝になればその職場での集団生活に戻らなければなりません。自分の所属する集団内での人間関係がうまくいっていないと毎日辛いですよね。

今回はそんな職場の人間関係で悩んでる方に、気持ちが楽になる考え方をご紹介いたします。自分自身や周囲の人々に対して、ほんの少し視点を変えてみるだけで心がすっと楽になるかもしれません。

ストレスのほとんどは人間関係から

ストレスのほとんどは人間関係から

人が感じるストレスのほとんどは周囲との人間関係から生じると言われています。

それは「自分はこうありたい」「他人からこんな風に思われたい」といった理想の自分像に対する執着に起因しています。言い換えれば、「自分が望むような自分」でありたいけどそれがうまくいかない、「自分が望むような自分」として周囲から見られていないといった感情がストレスを生んでいるということでもあります。

例えば、仕事でミスをしてしまって上司から注意を受けストレスを感じた場合、「自分は仕事のできる有能な人物でありたい」あるいは「人から頼られるような存在として見られたい」のにもかかわらず仕事でミスをしてしまったことで「自分が望むような自分」と現在の自分に対する認識のずれが生じ、ストレスを感じてしまったということになります。

もちろん理想の自分像に対する執着を持つこと自体は決して悪いことではありません。理想の自分に少しでも近づこうと日々努力をすることは素晴らしいことです。

しかしその理想の自分像に対する執着が強すぎると、それがうなくいかない時に感じるストレスも大きくなってしまいます。大切なのは理想の自分像に対する執着を客観的に捉え、適切な距離感を保つことだといえるでしょう。

『分人』という考え方

みなさんは『分人』という言葉をご存知でしょうか?『分人』というのは小説家の平野啓一郎さんが提唱している概念で、一人の人間である『個人』は、複数の人格の集合体として成り立っているという考え方です。その個人を成立させている複数の人格それぞれを『分人』と呼んでいます。

人はその時誰と一緒にいるかによって、複数の人格を使い分けています。

  • 友人といるときの自分【分人A】
  • 恋人といるときの自分【分人B】
  • 家族といるといるときの自分【分人C】
  • 職場の人間といるときの自分【分人D】

通常、友人と一緒にいるときの自分と職場の人間といるときの自分では、相手に対する言動は変わってくるものだと思います。気心の知れた友人とは他愛もない冗談を交わしたり、馬鹿話に花咲かせることもあるでしょう。しかし職場の上司に対してはなかなかそうはいきません。畏まってしまい気軽に話しかけることなどもあまりできないかもしれません。それは自分の中に「友人といるときの自分(分人A)」と「職場の人間といるときの自分(分人D)」という複数の人格を持っているからだといえます。したがって分人Aや分人Dといった各々の分人はあくまでその人が持つ一部分であり、その人の全てではありません。その人が持つ複数の人格の総体がその人個人を形作っているのだという考え方が『分人』という言葉の意味するところなのです。

誰と一緒にいるときが無理をせず一番心地よく過ごせるか。
誰と一緒にいるときが最も「理想の自分像」との乖離を感じずに過ごせるか。

先ほどの項では、ストレスを感じる原因は理想の自分像と現在の自分に対する認識のずれが生じることであり、理想の自分像に対する執着と適切な距離感を保つことが大切だということをお話しました。したがってその執着と適切な距離感を保つためには「理想の自分像」と一番近い自分でいられる分人を、自分の基準として設定すれば良いのです。

毎日自宅と会社の往復で仕事に費やす時間が多くなってしまうと、職場でのストレスもまた大きな比重として感じてしまうかもしれません。しかし、それはあくまで「職場の人間関係の中での自分」という「分人」にとってのストレスなのです。「理想の自分像」と一番近い自分でいられる分人を自分の基準として設定しその比重を大きくすることによって、職場の人間関係の中での分人を切り分けて比重を小さくすれば、そこで受けるストレスの影響もあなたにとって取るに足らないものになるはずです。

思い切って環境を変えてみるのもアリ

しかし、それでも職場の人間関係で悩むことは尽きないかもしれません。職場の人間関係の中での分人の比重を小さくしようとしてもなかなかうまくいかない場合もあるかと思います。そんな時は思い切って環境を変えてみるのもひとつの手です。つまり、職場を変えることによってそれまでの職場の人間関係の中での分人を自分の中から完全に切り離してしまうということです。

新しい環境の中に飛び込むのは勇気がいることだと思います。しかし環境が変わり周囲の人間関係もまた新たなものになれば、そこでまた新しい分人が生まれます。その新しい分人が「理想の自分像」により近いものであればストレスに悩むことも少なくなるでしょうし、そこはあなたに合った環境であるといえるでしょう。